「街と森を結ぶ湯屋」として
〈菊の湯〉の新たな歩み

栞日は銭湯と、銭湯がある街の風景を残したいという想いで、〈菊の湯〉を引き継いだ。松本にある〈菊の湯〉は、材木屋が職人さんの労を労うべく、廃材を燃やして風呂を炊いたのが始まりで、100年近くの歴史があるという。街の人のほかに、北アルプスから降りてきた登山者にも、街の湯屋として親しまれてきた。

しかし、街の映画館や古本屋が姿を消していくように、銭湯も持続することが難しくなってきた。この時代の銭湯の役割、この街にある銭湯の役割、を栞日代表の菊地徹さんは考えた。その一つの方向が「親密で持続可能な地域経済」。〈菊の湯〉の湯は街の東側の山から流れ込む豊富な地下水を組み上げて沸かしている。利用者は自然と森林からの恩恵を享受している。松本の市街地にある〈菊の湯〉を、この城下町を囲む山々との結びつきが感じられる場に仕立てることで、街に暮らす人たちに周辺の木や土や水に想いを馳せるきっかけを作ること、また「ここではないどこか」や「自分たちではない誰か」を想像して優しさや親密さが生まれていくこと。

時代の中で、銭湯が古くなったわけではないだろう、銭湯が本当の意味で文化になるためには、その在り方と役割をこれからの時代に深めていくことなのかもしれない。〈菊の湯〉は、理想の姿を目指して弛まずアップデートしていくという。その姿を見つめていきたい。

住所_長野県松本市中央3-8-30

営業時間_14:00〜23:00 日曜7:00〜23:00 定休日_水曜

電話_0263-32-1452