BAKERY 008

シンプルがいちばんだ。

いちあん

埼玉_所沢

キャッチャーでの経験が

全体を見る力を

マネージャーの経験が

マネージメントする面白さを

ホテルでの経験が

質へのこだわりを

和菓子屋での経験が

丁寧なものづくりを

誰とも違う経験値が

オリジナルのパンを作る

〝食豊〟。むかし話にありそうなこの言葉は、「〝食〟を通して心と体が〝豊か〟になることに貢献したい」という市川さんの思いを表現する、創業時に生まれた造語、いちあんの理念だ。市川さんは〝体が喜ぶ食べ物〟を作ること、それを心地いいと感じてもらうことを、最も大切なことと考えている。米糀を使った自家製酵母、小麦や牛乳、バター、砂糖、水…、原材料となるものは全て産地や農法が確認できるもの、市川さんが自分の足で生産者に会いに行き、納得したものだけを扱う。「いいものをいい状態で適切に提供できれば、お客さんに満足してもらえる。思いを届けることができる」。その考えの基盤は大学卒業後に働いた宿泊業での経験によって形成されたという。「最後に所属したのがいわゆるラグジュアリーホテルだったんです。サービスやマニュアル、スタッフのモチベーション、取り組む姿勢、全ての質が高かった。それから〝質にこだわることは心地いいこと〟となりました」。

1_シンプルさへの強いこだわりがわかりやすく表現されているあんぱん。大きすぎず、2個、3個とどんどん食べたい気持ちにさせる。2_きれいに並べられた紫芋や狭山茶、くるみのあん。いちあんのあんぱんは和菓子作りのように一度あんを丸めてから包む。3_「たくさんのことを考えている」。仕事場での市川さんは手を動かしながら、その瞬間瞬間にすべきこと、伝えるべきこと、作業の効率…、コミュニケーションと良い気の流れと空間作りに集中する。4_席間の距離をゆったり取った一人でも過ごしやすいカフェスペース。端材をリユースしたテーブルや椅子がほどよく“和”の雰囲気を作り出している。5_各種あんぱんをメインに店内にはカンパーニュなどのハード系のパンや惣菜パン、季節の素材で作ったコンフィチュールなども。

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老舗の和菓子屋で働いたのち、いちあんを開店。和菓子屋ではなくパンの道に進んだのは「日常的な食べ物で、素材や製法で独自性を発揮する余白、可能性があると思ったから」。パン屋での修業経験はゼロ。独学でオリジナルを見つけ出した。市川さんはいちあんの独自性を「シンプルにこだわること」に置く。足すことよりも引くこと。お店に並ぶパンはどれも派手なものはない。主役は昔ながらの雰囲気を漂わせる丸い形のあんぱんだ。こしあん、つぶあん、紫芋、かぼちゃ、くるみ…。ガイドがなければどれがどれだかわからないシンプルな作り。「優先順位が高くないというだけで、軽視しているわけではないんですよ。でも、よりおいしいもの、よりピュアなもの、よりシンプルなものであることが第一。その素材のありのままの味、旨み、食感、そうしたところに心を満たしてもらえる方がやっぱりうれしいんです」。

Photo_Takanori Sasaki

Shop Data

 いちあん

埼玉県所沢市旭町27-23

☎︎︎ ︎04-2941-6862

営 木~火曜 10:00~18:00

 (ランチタイム 11:30~14:00)

休 水曜

www.ichian.co.jp

※2018年2月号掲載時の情報です