BAKERY 016

片手で食べられるフレンチ

itokito

東京_大岡山

二人の予定が合った日は

パン屋めぐりをしていた10年前。

ここのクロワッサンがおいしい、

次はあそこのお店に行ってみよう、

そしていつか自分たちも。

あの頃話していた夢が

昨年やっと実現した。

「きときと」とは、新鮮な、生き生きとした、などの今が最高潮の状態であることの意味を持つ富山の方言。感情がこもった時には「きっときと」と発音される。「パンも新鮮な方が良いよね」、開業して10年目を迎えた大岡山のパン屋〈itokito(イトキト)〉の店主、勝野真一さんはそう考えて屋号を決めた。イトキトでは、旬の食材を使用したパンが豊富。菜の花とホタテに白ワインバターソースを合わせてバケットにはさんだり、定番のフルーツサンドもいちごやメロン、柿など季節の移ろいに合わせて中身が変わる。

1_店内には、奥さんの千津さんの版画作品や友人のコラージュ作品などが飾られている。2_開店の10時にはほとんどの種類のパンが並び、食パンは10~11時の間に1回目が焼き上がる。3_10年前の開店時、壁の塗装や店内のタイルを貼るのも自分たちで手がけた。「itokito」の文字は陶芸家の友人が焼いてくれたとのこと。4_新鮮ないちごと自家製のコンフィチュールのサンド(¥330)。5_ライ麦のパンを使用したタマゴサンドを仕込む勝野さん。

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「料理は作りたて、焼きたてがおいしいとは言うけれど、パン屋はそれが叶えられないことも多いんです。買ってすぐに食べる人もいれば、翌朝に食べる人もいる。温めて食べる人もいれば、そのまま食べる人もいたり、パンは自由度が高い。それが魅力でもあるんですけどね。ちなみに僕はアウトドア派。パテサンドをジーンズのポケットに入れて、近くの公園に向かう。着く頃には、パテが緩くなって食べやすくなっている、みたいなね。レストランやビストロで味わう料理の感動を、太陽の下で手軽に楽しんでもらえたら、と考えています。サンドする具材の製法から調味料の量や塗る順番まで、日々アレンジを重ねる。いつ誰が食べてもおいしいパンを、10年前も今も考えています」。

パン屋の前は、設計やグラフィックに関わる仕事をしていたという勝野さん。お店を設計する際にも勝野さんが図面を引いた。大岡山駅を出て商店街から少し外れた場所にイトキトは店を構え、ここだけ異世界のようで思わず足を止めてしまう。扉を開ければ、〝きっときと〟のパンたちが出迎えてくれる。

Photo_Yoko Tagawa (horizont)

Shop Data

itokito

東京都大田区北千束1-54-10 佐野ビル1F

☎ 03-3725-7115

営 火~金  10:00~20:00

   土・祝 10:00~19:00

休 日・月曜

※2017年6月号掲載時の情報です