EAT 001

  雄弁な家庭の味。

ことこと

東京_中目黒

残ったのは、

毎日食べたいごはん

家庭料理の店〈ことこと〉の客席に座ると、カウンター越しに店主佐藤ひろみさんの背中を眺めることができる。ことこと、トントンという手際のいい音が響く。壁に掛けられた手書きのメニューには、野菜をたっぷり使った和食を中心に、ラタトゥイユなど異国の家庭の味も並ぶ。

初めて焼いたマドレーヌの膨らんでいく姿に感動して製菓学校に進んだという、元パティシエの佐藤さん。代官山でカフェを営んでいた頃にまかないとして振る舞っていた家庭料理が好評で、「普段食べ慣れているものが一番ほっとする」ことに気づき、「日々の食卓」を提供する現在の店のスタイルに行き着いた。

1_お店のメニューは、旬のものと定番のものが半分ずつ。写真奥から手前に、きゅうりとみょうがの梅和え(¥810)、長芋と豚バラの黒酢炒め(¥1,944)、水茄子と葱味噌 (¥842)。夏の訪れを感じる味。2_当初は手が震えたという、オープンキッチンでの調理。日中は天窓から光が降り注ぐ店内で仕込みを行う。3_発酵食品を積極的に食べているという佐藤さん。「自分が元気じゃないとね」4_シメに頼むお客さんが多いという3品。おにぎりは、口に含むとほどけていくような握り加減。5_以前はCDショップに通い、聴き比べながら集めていたというBGM。最近はゆったりと食事を楽しんでもらえるような音楽に落ち着いた。

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「無理はしない。ただ、いい加減にはやらない」。佐藤さんは今日も、オープンキッチンに、まっすぐな想いで立つ。「作れるものは自分で作る。自分が食べて安心なものを使いたい」。定番メニューのひとつで自身も毎日食べているというぬか漬けは、ほぼ毎日自ら精米しているという宮崎産の無農薬米の新鮮なぬかを使い、和食に欠かせない調味料のひとつである味噌も、毎年自分の手で仕込む。毎日おいしいものを、きちんと食べたい。まずはそんな自分の気持ちに正直に、誠実に。そうして作られたごはんは、日々の繰り返しのなかにある楽しみを教えてくれる。「季節の走りと出合うと心躍る。食べ慣れた食材でもやっぱりおいしい」、そう語る佐藤さんの今日の料理に会いに行きたい。

Shop Data

ことこと

東京都目黒区上目黒 1-7-5 1F

☎ 03-3464-3532

営18:00~23:30 ※L.O.22:30

休 第1・3月曜日、日曜、祭日

※2018年8月号掲載時の情報です