EAT 008
記憶に残る、大人の〆。
蕎麦 シカモア
東京_上町
料理は上から、定番の旬の食材で作る
「真鱈白子と生海苔の和風グラタン」(¥1,200)、
ポリフェノールが豊富で出汁に美しい葉の色が移った
「金時草のおひたし」(¥480)、
細かめに挽いたそば粉で打った〆の「せいろ」(¥700)。
作り手が小川さんの同年代だという三重の銘酒「而今」を添えて。
新たな蕎麦屋酒の形
少し敷居の高い蕎麦屋酒を身近に楽しめる店が、世田谷・上町にある。〈シカモア〉の店主小川亮さんは7年前、音楽業界から蕎麦職人へと転身した。「以前はレコード会社で、〈JUNSKYWALKER(S)〉の制作に携わっていました。ライブで彼らが作る音楽を聞き、涙するファンの姿を見て、単純にすごいと思ったんです」。自分で生み出すものから、人を感動させる仕事をしたい。そう漠然と思う日々のなかで、呑むこと、食べることが大好きな小川さんは〝蕎麦屋で酒を交わし、〆に蕎麦を食べる〟そんな粋な大人の飲み方に出合い、やるなら蕎麦を極めようと決意。それから4年間の修業を経て、独立を果たした。
1_店の一角には蕎麦打ち部屋がある。水回しの作業中である店主の小川さん。2_お店の器は、近所のほぼ同じ時期にオープンした器店〈工芸喜頓〉から購入したものが多い。3,4_コンパクトな空間ながら、いくつかの表情を楽しめる店内。天井の高さは3.5mほどあり、地上に面したところには窓もあるため、地下ながら開放的な雰囲気がある。5_キャンドル作家のスタッフの子が、お店のために作ってくれた灯り。小川さんはサーフィン好きだからと、海がモチーフとなっている。
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「シカモアでは、食事の〆でも印象に残る蕎麦を作っています」。お店で製粉から手をかけた新鮮な蕎麦は、素材本来の香りが生かされ、〝爽やか〟という言葉が似合う。また、その蕎麦を味わう前に楽しむ酒と肴も絶品で、12種類ほど用意のある日本酒は、三重県の〈而今〉や、滋賀県の〈七本鎗〉など銘酒揃い。肴は週に2回、築地で仕入れた新鮮な魚介を中心に〝板わさ〟や、〝だし巻き卵〟などの蕎麦屋の定番をはじめ、加賀野菜である〝金時草のおひたし〟や、だったん蕎麦や燻製玉子を混ぜた〝ポテトサラダ〟など、ほかに類をみないメニューも多くある。「新しいメニューを楽しみに来てくださる方は多いですね。日々、発見のある店であり続けたいと思います」。
Photo_Eri Kawamura
Shop Data
蕎麦 カシモア
東京都世田谷区世田谷3-3-1 B1F
☎ 03-6413-5653
営 17:00~25:00
休 月曜日・第1火曜
※2018年1月号掲載時の情報です