CAFE 016

ねじまき時計の一刻を。

ねじまき雲(陽)

東京_国分寺

心地いい苦みを楽しめる、定番のコーノ ブレンド「旋風」(¥700)。

コーノ式ドリップで主力のストレートコーヒーも用意。

ほかにも抽出方法は8種類ほどある。

硬派な遊園地みたいに楽しんでもらえれば、と長沼さん。

いろいろあるから、深まるコク。

「実家では親父が日々、炭なんじゃないかと思うほど苦い、炭焼きコーヒーを淹れていました。もともと僕はコーヒーに興味がなくて、むしろコーラの方が好きでした。けれど奥さんがバリスタを始めてから、僕もコーヒーを飲むようになり、焙煎機まで手に入れて。気づけば四六時中コーヒーのことばかり考えていました」。店主の長沼慎吾さんは、26歳で勤めていた会社を退社し、29歳で独立。今では水曜日のみ営業する〈ねじまき雲(陰)〉を、東京の西端、青梅で開いた。「当初は受け入れられず苦労しました。人生は甘いだけじゃない。酸っぱい、苦い、渋いこともあります。でもその経験は無駄じゃなかった。うちのコーヒーも、ほかでは省かれるような個性的な味を生かすからこそ、面白いブレンドになる。苦いコーヒーですねってよくいわれるけど、根底に甘さがないと、苦味も旨みとはならないんですよね」。

1,2_個性豊かな作品たちが佇む。3,5_丁寧にコーヒーを淹れる店主の長沼慎吾さん。「浅煎りも、深煎りも缶コーヒーだって好きです。でも苦めのコーヒーは、特に落ち着きます」。3_細く短い線で描いた薗田さんの作品。4_きなこと黒蜜の白あん羊羹(¥400)。甘すぎることなく、どんなドリンクにも合う。デザートは、季節ごとにラインナップもさまざま。5_営業時間は24時まで。6_廃材を利用した家具や建具に、インストュルメンタルな音楽がゆったりと流れる。

1

5

2

3

6

4

10年以上変わらぬ理念のもとブレンドされている〈旋風〉は、3、4杯は淹れられる粉量で、1杯分100竓を丁寧に抽出する。濃ゆい独特なコーヒーに集まる、マニアックな人々。静かに増えていく常連作家さんの作品も、店を異世界へと誘ってくれる。『「ねじまき雲」なんて雲ありません。ねじまき時計のように巻かなければ 止まってしまうような刻の中、珈琲の湯気と、焙煎の煙と、集う人々の温かな蒸気とで生れる、まどろむ雲のような優しい時間をと、思うのです』。分厚いメニューに綴られた店主の思い。どこまでも深いコーヒーの旨みを、まるで静かな遊園地のような場所で、あっという間に時は過ぎていく。

Photo_Ryo Kuzuma

Shop Data

ねじまき雲(陽)

東京都国分寺市東元町2-18-16吉野ビル 104

☎0428-85-9228

営 14:00~22:00 (L.O. 21:30)

休 水・木曜

※2017年5月号掲載時の情報です