PAN 001

  夢をかたちに。

CROIX

東京_中野

今日はどんなパンがあるだろう

明日は何を合わせて食べよう

街にパン屋ができると

大人も子どももうきうきする。

誰かの笑顔を願って焼かれたパンは

毎日の暮らしに小さな夢を

運んできてくれる。

大通り沿い、歩道に置かれた立看板。黒地に白線で大きく描かれたベーグル型のロゴに導かれて住宅街へ入って行くと、小さなちいさなパン屋さんに辿り着く。「賃貸の時にコンクリート打ち放しに住んで、自分でもこんな家を建てることができたら、というのが夢でした。周りからは絶対無理っていわれてたんですけどね」。5年かけて探した土地。理想の間取りに、お気に入りの家具。榎本淳さんの想いがつまった自宅の一階は、今では〈CROIX〉という名のパン屋さんになった。

 

「家を建てる時に、漠然と、将来ここでおもしろいことができればいいなと思ってました。例えばカフェとか」。自宅が完成して数年後、趣味である食べ歩きの旅で訪れた京都のパン屋で、衝撃を受けた。「一口食べた時に、本当においしいと思って」。そこから平日は都内の大手チェーンのパン屋で働き、週末にはパン教室に通うこと3年。その後40歳を目前に、自分の店をオープンした。

1_店を開く前から試作を繰り返してきたという、看板メニューのカンパーニュ。十字の切れ目、フランス語で「クロワ」は、店名の由来でもある。2_「もっと学びたい。また数年くらい、修業に出たいですね(笑)」。榎本さんの夢は、まだまだ続く。3_お客さんからのリクエストも取り入れながら日々更新されているメニュー。毎日食べられるシンプルな食パンやバゲットなどの定番以外にも、スイーツ系や惣菜系など、約30種類のパンが並ぶ。4_子どもから大人まで大人気のベーグル各¥200。5_自宅改装時に建築家安立悦子さんのアドバイスで据えられた、木目のドアとベンチ。コンクリート造りの家に、優しい風合いを添えて。

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人通りの少ない住宅街、当初は不安もあった。だが今では、「サラリーマン時代には味わえなかったやりがい」を感じているという榎本さん。「パン屋を始めてみて、近所のおばあちゃんがすごい喜んでくれて。体の調子が良くなくて闘病中なんだけど、食べていいもののリストに全粒粉のパンって書いてあって。全粒粉って小麦を丸ごと砕いてるから、栄養がつまってるんですよね。それで、毎週全粒粉の食パンを買うのを楽しみにしてくれている。ほかにも、近くの病院の帰りにうちのパン屋に立ち寄るのが楽しみになったって人もいて。そういうのが励みになる」。

 

前職を辞め、「自分のやりたいことをやって過ごすのがいいかな」とスタートした修業時代。その間、練り続けて生まれ たお店のテーマは「Daily bread for your table!」。榎本さんの描いてきた夢は、今ではご近所の人々の暮らしに、小さくあたたかな喜びを生み続けている。

Shop Data

CRIOX

東京都中野区野方 1-44-6

☎ 03-6310-9996

営10:00〜18:30

休 第2・4月曜、日曜

※2018年9月号掲載時の情報です