暮らすひとと暮らすところ  福岡県・北九州市

思いをつないでいく

僧侶・アーティスト

とよだまりさ

門司区

7時から朝のお勤めをし、夕方からはお寺に隣接する、今は休園となった幼稚園の教室をアトリエにしている。

このまちの空気のなかで

海と山に恵まれた九州の玄関口、福岡県北九州市門司区に暮らすとよだまりささんは、僧侶とアーティストという2つの顔をもつ。関西の芸術大学へ進学するために北九州を離れ、卒業後は京都で創作活動をしていたとよださん。実家の〈徳念寺〉を継ぐために2016年に門司に戻ってきた。「お寺に育ててもらったという感覚が強かったので、ここを、お寺の人の思いをつないでいきたいと思って継ぐことを決めました」。

生き物を描くことが多かったが、お寺の冊子の絵の依頼などでは多くの人の心が和らぐものをと、花や自然のものを描くことも増えたという。

朝早くからお寺でお勤めをし、夕方からは創作活動を行う生活を送る毎日。今は2つの活動の良いバランスを模索しているという。「絵を描くときは自分と会話しながらこころ模様などを描写し表現していくのですが、お寺では話を傾聴してひとりひとりに寄り添って伝えていきます。同じようで違うような難しさもあります」。共通するのは、人の喜ぶ顔が見たいということ。

門司に戻ってからは、イベントでのライブペインティングや、門司港のポスター制作などと活動の幅を広げている。「最近はみんなを仏様にしてニガオエ仏を描き始めました。私の中で仏さまを身近に感じているからこそ、愛着を持ってデフォルメして描くことができますね」。

寝ている時に現れる、みんなの夢を食べて生きている生き物をイメージして描いた「ゆめうつつんつん」。つぶつぶした立体的な表現も特徴的。

お寺を継ぐことの重圧もあり、戻ってきて1、2年は閉じこもりがちだったという。「小倉にみんなが集う場所があって、そこに通い始めてから友達ができて元気になりました。小倉はすぐに人と仲良くなれる場所です」。関西では常に気が張っていたというとよださん。「北九州は時間がゆったりして落ち着きます。風の通りが良くて緑もきれいで、自然の音や匂いがたくさん感じられる。最近力を入れる方が難しくなっている気がします。肩の力が抜けたのかもしれませんね」。

風師山は海と山が一望できるお気に入りの場所。「門司は夕焼けがきれいで、日によって表情が違うのがおもしろいですよ」。

Profile

福岡県北九州市門司区生まれ。大阪芸術大学と京都造形大学院で絵を学び、京都でドラマの絵画指導や創作活動を行ったのち、中央仏教学院で仏教を学び、2016年に門司港に戻り、実家である徳念寺で僧侶をしながらアーティスト活動を続けている。

https://marisize.tumblr.com

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